豊臣秀吉の正妻、北政所。通称ねね。
彼女が晩年を過ごした圓徳院と秀吉の弔いに建てさせた高台寺が向かい合って立ち並ぶ為に挟まれたその道は「ねねの道」と呼ばれています。
特にねね自身がその晩年を過ごした圓徳院は彼女が存命の内はその知人友人が多く訪ねて来る賑わいのある場所だったそうで。
お昼に来るのは初めてだったので随分のんびりとまわってみました。

秀吉の立身出世を支え生涯愛された女性。文献を読んでいるとねねの性格はたいていが明るく天真爛漫にえがかれているものが多い。
秀吉共々、快活で他者を惹きつける魅力に溢れた存在だったようで、圓徳院を伺ってみると何となくその雰囲気が伝わってきます。
とくに庭園なんかは本当にねねの存命の頃そのままだったようです。
そういったものが今でも普通に見れること自体素晴らしい事ですよね。
ここで昔の友人達と語らい合い亡き秀吉の思い出話に花を咲かせていたのでしょうか。

先にも触れましたがなかなかに快活でユーモアのある方だったようで。
自分と秀吉の夫婦喧嘩をあの織田信長に告げ口したなんて話もあるくらい。
鳴かぬなら殺せの織田信長に夫婦喧嘩の仲裁をさせるなんてなかなかの女性です。
信長にしてそう面倒を見てしまいたくなるような愛される性格だったのがうかがえます。
院内の風景は静謐というよりどこかそうした「ねね」の可愛らしさやユーモアが感じられて歩きながら少し微笑ましい気持ちになってきます。
芸術的な美しさにウットリとか、重厚で神々しい雰囲気に圧倒されるとか、寺社仏閣にはそれぞれ異なった魅力がありますが、ここは本当にユーモアのある可愛さがそこかしこに感じられます。


この置物。どう見てもネズミ、、と思ったら狐でした。
秀吉の悪い方のあだ名は「ハゲねずみ」まさかこの場所でこれは!と、思ったのは僕だけでしょうか?
ま、夫婦喧嘩の後ならこの2人ならこれくらいの洒落はアリなんじゃないかとも思うのですが。(笑)
北庭。

少しくぐるような格好で大きな部屋に出ると唐突に現れるこの景色がまた絶品!
この「いきなり現れる」のも計算されたものなんでしょうか?
そういえば秀吉は古今東西随一のイベント企画者で何かと趣向を凝らして人を楽しませるのが大好きな性格だったとか。ねねにもそういうイズムが生きていても不思議ではありません。
紅葉や雪化粧の時も是非訪れてみたいと思わせる庭。
ここだけで一時間はぼうっとできます。
ここを出るとすぐに見えてくるのが三面大黒天

ぼくが訪れた時がちょうど毎月3日の法要の日だったようで、ご住職や僧の方々と参拝の方が集まっていました。しばし、ふんふんと有難いお話に耳を傾ける。
ちなみにこの三面大黒天さん。大黒天、毘沙門天、弁財天の三天合体の尊像という珍しいもの。
なにせ最下級の身分から天下人になった豊臣秀吉公守りの御本尊ですから何やら強烈なパワーがあるそうで
何々の芸能人やらスポーツ選手やらが願ったらどうなったとか、宝くじがどうとか色々とご利益があるんだとか。
うん。その景気の良さそうなご利益もねねと秀吉にはピッタリなお話し。
なんとなくウキウキと心が沸き立つ魅力ある場所ですよ。
最寄り駅は京阪祇園四条。徒歩15分。
バスで八坂神社前で降りたほうが近道ですが途中いくらでも観光スポットがあるので徒歩15分はぜんぜん気にならないでしょう。近くに人力車のお兄さんもいるので余裕があればそちらも利用したいですね。